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2026年2月6日の大崎裕史の今日の一杯

東京都千代田区神田

【期間限定】金乃武蔵30周年第一弾『越前蟹ら〜麺』(3300円)

麺屋武蔵創業30周年企画『金乃武蔵』第一弾が超凄すぎた!
(長文&第一弾は販売終了)

「金乃武蔵」は、2016年に「麺屋武蔵」創業20周年を記念してスタートした企画。高級食材を惜しみなく使用した超プレミアムラーメンシリーズ。コンセプトは「ラーメンの固定観念の破壊」と「革新的で上質」。ラーメンの枠を外し、原価を考えないで自由な発想から作られた限定ラーメン。しかも「金乃武蔵」専用の黄金の丼で提供。その時の第一弾は2016年1月で20周年にちなんで2000円(税別)。何度か提供し、途中から不定期に登場していたが、しばらくご無沙汰でした。

そして今回は30周年。そこで価格も3000円(税別)。「高いな〜」と思うなかれ。でも、値段だけ見るとそう思ってもしょうがない。ところが、詳細な解説を聞いて、食べ終えると「これならその10倍の3万円を払う価値がある!」と思ってしまうほどの“超凄い”ラーメンでした。

20周年の時の「金乃武蔵」も毎回、原価無視でとてつもなく手間を掛けた驚愕のラーメンでした。その延長かと思ったら、さすが30周年だけあり、超絶パワーアップ。運良く、食べることができたので紹介します。(あまりにも凄すぎて書くまでに2週間かかりました。)

メニュー名『越前蟹ら〜麺』。福井県の港で水揚げされた越前蟹をふんだんに使用したラーメン。蟹出汁で具に蟹がいっぱいのってるのかな?いやいや、そんな安易なことは20周年の時でもやってない。20周年を上回る手間と原価の掛け方なのです。

まずはスープ。大量の蟹から取った「超濃厚蟹スープ」とトッピングで使用する蟹を茹でた「茹で汁」、さらに2年以上熟成させた最高級利尻昆布の「水出汁」、この3種類の“出汁”を絶妙な塩梅でブレンド。(これだけで万は取れる。)

蟹を捕った同じ海水から職人さんが手作業で作った「越前塩」を使った塩水で蟹を茹でる。
具は「蟹しんじょう」と「蟹の身」。茹で立ての越前蟹をさばいて甘海老のすり身と合わせて作った「蟹しんじょう」。甘海老も同じ海で取れたもの。文字で読むと「焼鳥のつくね一個くらいかな?」と思いがちだが、これがハンバーグのような大きさ。“普通”の蟹しんじょうですらこんなにデカいのを食べたことがないが、高級越前蟹を使って掌くらいの大きさなのだからビックリ。値段未定の日本料理に行ってこれが出てきたら、勘定が心配になってしまうほど。でも、今回は3000円(税別)と決まっているので安心して食べましたが、その価格だと申し訳なさ過ぎてごめんなさい、という大きさ。もちろん、いまだかつて食べたことが無いようなおいしさ。そして、その上にその蟹しんじょうが見えなくなるくらいの「蟹の身」がのってるんです。
一番肉厚な2,3,4番目の脚を殻から外して食べやすくして提供。そしてラーメンに必要な「油」は茹で上がってすぐに捌いた蟹の殻で「蟹油」を抽出した“出来立て(作りたて)”。

別皿のトッピングは、メンマと味玉。メンマは藤枝市村越農園の朝比奈筍を筍メンマに仕立てたもの。味玉はラーメンスープにも使用した濃厚蟹出汁で味付けした“蟹玉”。

ここまででも驚天動地だが、細打ちストレートの麺がまた凄い。蟹の茹で汁で麺を茹で、麺に蟹の味を染み込ませているんです。もちろん、茹でる毎に茹で汁は破棄し、フレッシュな茹で汁を使用。
これだけで十二分に身も心も大満足だが、最後に越前蟹のミソと爪の身、胴体のほぐし身を入れた超贅沢な雑炊が登場!

越前蟹を丸ごと一匹以上使ったラーメン、凄すぎました。
「おいおい、大崎、蟹は一杯と数えるんだぜ、知らないのかい?」と突っ込みたい方、お待ちください。蟹は死んで市場に並んだものは“一杯”と数えます。しかし、今回の蟹は最高の状態で食べていただくために直前まで生かしておいてるんです。だから“一匹”なのです。そのため着席して、そこから蟹をさばき調理するので少し時間がかかるのです。それまでにチャーシューと自家製カラスミを食べながら待ちます。なので1回四人まで、1時間の交替制。その4人のために何人ものスタッフが生きてる蟹の殻剥きから始めるんです。

この企画、合計でたった24人しか食べられないという超レア企画。しかも、「麺屋武蔵アプリ」を使ってポイントを溜めた人優先という超難易度の高いハードル設定です。第二弾、第三弾に申し込みたい人はアプリをダウンロードし、ポイントを溜めておきましょう。

大崎裕史
大崎裕史

(株)ラーメンデータバンク取締役会長。日本ラーメン協会発起人の一人。東京ラーメンフェスタ実行委員長。1959年、ラーメンの地、会津生まれ。広告代理店勤務時代の1995年にラーメン情報サイト「東京のラーメン屋さん」を開設。2005年に株式会社ラーメンデータバンクを設立。2011年に取締役会長に就任。「自称日本一ラーメンを食べた男」(2024年6月末現在約14,000軒、約29,000杯実食)として雑誌やテレビに多数出演。著書に「無敵のラーメン論」(講談社新書)「日本ラーメン秘史」(日本経済新聞出版社)がある。